Thursday, August 16, 2012

ファン・ペルシ移籍がユナイテッドとアーセナルに意味するもの


プレミアリーグの開幕を週末に控える中で、クラブ間で合意に達したロビン・ファン・ペルシの移籍。マンチェスター・ユナイテッドとアーセナルの両クラブにどのようなインパクトをもたらすのか。「テレグラフ」紙のマーク・オグデン、ジェレミー・ウィルソンの両記者がそれぞれの側面から描写している。



++(以下、要訳)++

マンチェスター・ユナイテッド

ロビン・ファン・ペルシの加入で、マンチェスター・ユナイテッドには2つのシナリオが想定される - ひとつはポジティブ、もうひとつはネガティブなものだ。

一見すれば、ウェイン・ルーニーが昨シーズンのプレミアリーグの得点王でフットボーラー・オブ・ザ・イヤーと並んでプレーするというのは、ヨダレが出るシーンだろう。

ルーニーとファン・ペルシは1999年のトレブル達成に欠かせなかったドワイト・ヨークとアンディ・コールのような相手を脅かせるコンビとなるだろう。同様に、ルーニーとファン・ペルシは2008年にチャンピオンズリーグをモノにした2トップに比肩するポテンシャルも持っている。しかし、サー・アレックス・ファーガソンのプランの裏側には、パートナーとなるストライカーと必ずしも気分良くプレーできていたわけではないルーニーにファン・ペルシが適応できない可能性もある。

ロナウドと組んでいた時には、ルーニーは自分の攻撃本能を犠牲にする形でこのポルトガル人フォワードを輝かせた。しかし、2009年にロナウドがレアル・マドリッドへと去って以降はユナイテッドの攻撃の中心として君臨しており、26歳のルーニーが脇役としてのプレーを再び受け入れるとは考えにくい。

ルーニーはルート・ファン・ニステルロイの横では滅多にハッピーにプレーできなかったし、ディミタール・ベルバトフやハヴィエル・エルナンデスとは相互理解を確立したものの、彼のベストフォームは攻撃の中心としてプレーしている時だ。

今季は誰がその役割を担うことになるのか?ルーニーとファン・ペルシが並んで2トップを組み、その後ろに1人入る、と考えるのが簡単だろうが、序盤戦は将来を占う意味でも興味深いものになるだろう。

そして、ファン・ペルシの到来は、ダニー・ウェルベックにとって何を意味するだろうか?彼はエルナンデスと3番目のフォワードの座を巡って争うことになるだろうが、この2人は1999年でいう所のオーレ・グンナー・ソルシャールやテディ・シェリンガムのような貴重な戦力になるだろう。

2010年の10月にルーニーがクラブの野心に疑問を投げかけた時、ファン・ペルシと組むことなど 想像できなかっただろう。今のルーニーにとってのチャレンジは、それを機能させることだ。


アーセナル

それは2010年だった。それまでも何度もアーセナルの基本的な戦略について弁護させられてきたアーセン・ヴェンゲルの我慢が少々崩れた。「我々はただ売るためにこれだけの時間をかけて選手たちを育てていると思っているのか?」というその表情からは、他のクラブが彼の最高の選手たちを引き抜くなどとは考えてもいない様子だった。

やがて、ヴェンゲルは彼の、若い選手たちが共に育ち、共に指導を受け、共に輝きを放つ、というヴィジョンは、彼らが将来のアーセナルについて同じ展望を持っているかどうかに依存する、ということを渋々認めるようになった。しかしながら、セスク・ファブレガスやサミ・ナスリ、そしてロビン・ファン・ペルシのような選手たちは、同様にクラブの将来にコミットしてくれると信じて疑わなかった。そして2年が経ち、我々は若干ことなる答を目にしている。

選手たちの忠誠心はアーセナルに対してではなく彼ら自身に対してであり、それは残念なことでもあるが、この先もヴェンゲルに「そうではない」と考えるのはナイーブ過ぎると伝えに来る者が出てくるだろう。

アーセナルはケガがちな29歳で2,400万ポンドの移籍金が得られるのは見事なビジネス、と確信を持って主張することもできるだろうが、それでもファン・ペルシを失うことは過去の退団劇よりもダメージが大きい。ティエリ・アンリ、パトリック・ヴィエラ、ソル・キャンべル、あるいはニコラ・アネルカの場合でさえも、彼らの最高の時期はもう超えた、という感覚があった。ナスリの場合には、金の問題だと勘繰らないのは難しかった。ファブレガスの場合も、彼の過去のバルセロナへの愛情が理由だった。

ファン・ペルシの場合、これらのいずれも当てはまらないのだ。彼はいまキャリアのピークにあり、ヴェンゲルは彼に残って欲しいと考えていて、彼は億万長者が資金を注入しているクラブに行ったわけでもない。

アーセナルが重視する育成を軸にしたモデルを固持するという意味で、ユナイテッドは直接のライバルにあたる。ファン・ペルシが去ったのは、多くのサポーターと同様にアーセナルの選手層は、主要タイトルを勝ち取るにはもはや十分ではない、と考えたからだ。

ヴェンゲルが彼の監督キャリアを守る上で重要で決定的な挑戦は、ファン・ペルシが間違っていると証明することだ。

++++

日本で話題となってる香川のポジションの話は全く出てこなかったが、むしろルーニーの「現在の」キャラクターがファン・ペルシとどうフィットするか、というところがポイントとなってくるんだろうな。個人的には完全に居場所のなくなるベルバトフの処遇。あとはアーセナルがこの資金で補強をするのかどうか。これまでの流れだと、いったんこれで様子を見るんじゃないか、って気もするけど。

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