Wednesday, January 9, 2013

ムサ・デンベレはいかにルカ・モドリッチの穴を埋めたのか

「FourFourTwo」は、ほんの一時期日本語版も出ていたイギリスのフットボール雑誌。そのウェブ版に、データに特化したコラムが掲載される『Stats Zone』なるコーナーがあるのだけど、そこによく寄稿しているのがフリーライターのマイケル・コックス氏。先日は「ガーディアン」紙に書いていたマンチェスター・ダービーのプレビューを紹介したが、彼がここでピックアップしたのは、トッテナムのムサ・デンベレ。

彼がいかにしてルカ・モドリッチの穴を埋めているのか、というのを、Optaのデータを活用してこの「FourFourTwo」誌がiTunesで提供するアプリ、「Stats Zone」を使って解説している。


++(以下、要訳)++

年末の「デイリー・メール」の素晴らしいインタビューでは、ムサ・デンベレはトッテナム加入後に彼がすんなりと役割を引き継いでみせたルカ・モドリッチとの比較を避けていた。「自分がルカの後を継いでいると考えたことは無いよ。自分では全然違う選手だと思っている。彼のプレーには凄く感銘を受けたけど、彼のスタイルはまた違うよね」

ある意味、デンベレはモドリッチの直接的な代役ではない。アンドレ・ヴィラス・ボアスがハリー・レドナップからチームを引き継いでいる、ということはトッテナムのプレースタイルが大きく変わっていることを意味していて、中盤の構成も違ってきているのだ。

レドナップの下で、スパーズは若干古いイングランドのスタイルを取り入れ、中盤はワイドに開いてスピード溢れる攻撃を見せるウィングたちにボールを散らすことが役割だった。少なくとも就任直後の早い段階では、ヴィラス・ボアスは中盤の3人がコンスタントに入れ替わることによる、選手たちのタテ方向への展開を求めていた。

たまたま最近のスパーズは、ハリー・レドナップがトッテナム時代に好んでいた形に近い4-4-2のシステムに戻してきている。中盤の三角形の頂点で使われるクリント・デンプシーやギルフィ・シグルズソンの調子の波が、ヴィラス・ボアスにジャメイン・デフォーとエマニュエル・アデバヨル -結果的に2-5で敗れたアーセナル戦での退場はあったにせよ- との2トップへとスタイルを変えさせた。

それがデンベレの役割も若干変えることになった。ヴィラス・ボラス就任からから間もない頃、特にリーグ初勝利となったアウェーのレディング戦では、デンベレは中盤のローテーションの触媒となっていた。サンドロよりも低い位置まで引くこともあれば、シグルズソンを追い越しもした。現在は、彼の横にサンドロがいるだけで、トッテナムの中盤はより固定された形になっている。サンドロが後ろに残って相手を止め、デンベレが前に攻撃に出る、という形だ。その意味で、現在のデンベレの役割はモドリッチのそれに近くなっている。フィジカル面では全く異なるが、少なくともピッチ上の役割で言えば、彼らは同様だ。

それでももちろんひとつの重要な例外がある。デンベレは依然として非常にダイレクトな選手で、突然ペースを上げてピッチ中央をドリブルし、相手をスピードで置き去りにすることもできる。モドリッチも相手に勝つことはできるだろうが、デンベレほどの頻度ではない。


それにしてもデンベレのパス能力は素晴らしい。元々ウィングやフォワードとしてプレーし、ボールを一人で前に運ぶことに慣れている選手であることから、パスは気まぐれなものになると思うだろう。しかし、彼はプレーをワイドに広げようというときには、極めて信頼性の高い選手である、ということが、最近の2つの試合でのデータからも分かる。



デンベレのパス展開はモドリッチを思い起こさせるものだ。今季と昨季の同じ、ホームでのストーク戦でデンベレとモドリッチを比較してみよう。デンベレが考えているよりも、多くの共通点が見いだせる。中央左に位置し、パスは大抵横向きだ。


明確な違いはその正確性だ。モドリッチは常に信頼の置けるパサーだと考えられているが、昨季のパス成功率は87.4%だった。今季のデンベレは、91.2%だ。

モドリッチはより野心的なパスを出すことを狙っていて、1試合平均で2.7回の決定機をチームメイトにもたらしていたが、デンベレはそれが2.0回となり、これがモドリッチのパスに失敗が多いことの理由になるだろう。そしてもう一点驚きなのは、デンベレが1試合平均で1.1本しかシュートを打たないというのは、彼が務めてきたポジションの変遷から言っても驚きに値する。モドリッチは平均2.3本だ。デンベレ本人が先に紹介した記事でも説明しているように、彼は幼少時にストリート・サッカーに没頭していた。そこではシュートによるゴールは無く、ドリブルで相手をかわし、街頭にボールを当てることが目的だった。シュートを打つことをためらい、タイトなエリアでもディフェンダーにチャレンジしていく、という彼の好みも理解できるだろう。

それでも、スパーズがモドリッチのレベルと同等のパス能力を持つ選手を何とか後継者として迎え入れることができた、という事実は印象的だ。デンベレは依然選手として成長できるし、ファイナル・サードでの貢献度を高めることができるだろう。それでも純粋に中盤エリアに限って言えば、スパーズはモドリッチの移籍による質の低下には困っていないのだ。

++++

個人的には、デンベレとサンドロにパーカーが加わった3枚の中盤、って形で機能したら凄いだろうな、と考えてるから2枚でも3枚でもフレキシブルに使えるようになってて欲しいけど、デンベレの適応は早かったね。ちょっと猫背でボール持って上がって、あのネットリしたドリブルしてくれると心躍るし。モドリッチの「いちいち正しい」プレーの選択にもいつも唸らされてたけど、デンベレにも趣があって、見ていて飽きない。

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